運動不足と体臭は関係ありますか?
ほぼ毎日デスクワークのみで、通勤もバイクといった 生活になってしまっている30代の独身男性です。
ここ2~3ヶ月ですが、体臭のことが気になり出し ました。
きっかけは、職場で打ち合わせの時に空調の 不調で私がひどく汗をかいたとき、周囲のほぼ全員が 鼻を手で覆う仕草をしたからです。
ショックでしたが、自分なりに考えてみると、それ以前にも友人からそれとなく言われていたことに思い あたりました。私に気を使って例え話で言っていた為に私のことを言っていることにその時は気づきません でしたが。その時友人が言っていた匂いは、「目にし みるような刺激臭がして涙や鼻水が出てくる。」
これは、運動不足の為になったものでしょうか?
それともわきがなのでしょうか?
私の場合、白いTシャツが数ヶ月(毎日洗濯します) 経つとわきではなく首周りが黄ばみます。また、よく 汗をかくのも顔から首周りにかけてです。
わきもそれ なりには汗をかきますが黄ばむことはなかったと思います。顔も脂性なのでメンズ用の洗顔フォームは毎朝 利用しています。
気になり出してからではありますが、 自覚した自身の匂いとしては甘酸っぱい酸味のある匂 いを感じたことがあります。
また着ていたシャツから 動物の様な、ちょうど野良猫を抱いて背中の匂いをかいだ時のような匂いがします。
また、サウナで汗をかいて新陳代謝を良くした方が良いだろうと思い、サウナに行きましたが、その帰り 電車で周囲の人達が顔をそむけて離れていきます。 当然サウナから上がった後はボディソープやシャンプ ーで体を洗っていますし、汗もかいていません。
単なる偶然かと思い、少し日をおいて試してみまし たが、サウナに行くと帰りの電車で周囲の人達が顔をそむけます。むしろ、サウナに行く時の電車では誰も匂いを感じないようです。
サウナの利用方法がおかし いのでしょうか?
周囲に不快感を与えるのであれば、仕事にも影響し かねませんし、きちんと治療したいと思います。
運動と体臭との関係について
あなたの場合にはワキガというよりエクリン腺の汗のニオイが強くなっている状態ではないかと思います。
あなたがご指摘のように運動不足がエクリン腺の「汗くささ」を強くすることがあります。常日頃から軽い「有酸素運動」をこころがけて「良い汗」をかくことが体臭予防の観点からも大切です。
では、運動がなぜ体臭予防になるかをお話しましょう。
日頃から有酸素運動で良い汗をかいている人は、汗腺の導管部というところで汗の原料となる血漿の成分がうまく「再吸収」されるため汗の成分が水に近くサラサラした感じの「良い汗」をかきます。
しかも良い汗はアルカリ成分の重炭酸イオンが少ないため「酸性」で皮膚表面にて雑菌が繁殖しにくいためニオイになりにくいのです。
ところが、運動不足でたえず空調のきいた部屋ばかりにいる人は、まず皮膚抹消血管の血行が悪くなります。血行が悪くなると汗腺への酸素供給がうまくいかず無酸素下で「解糖系」という方法で汗腺が働くエネルギーを取ります。
この際、「乳酸」という疲労物質が大量に生産されます。この乳酸は汗腺のなかにアンモニアの分泌を増加させる性質があるため「汗くささ」が強くなります。
また、運動不足になりますとちょっと動いただけでも汗がかきやすくなりますがこのようなときの汗もアルカリ性が強く雑菌が繁殖しやすい悪い汗なのです。
サウナと汗の関係ですが、通常ではサウナ(乾燥した)では「汗腺訓練」が行われますので汗腺機能が高まり「良い汗」をかきやすくするのですが、あなたのケースは逆のようですね。その理由はよくわかりません。できれば、スチームサウナでなく乾燥したサウナに入られること、またサウナから出たあとは、水風呂に入らず少しの間、裸で(風邪をひかない程度)自然に汗をかかせる時間をもつことをお薦めします。
以上ですが、あなたの場合にはあらためて「治療」の必要はないでしょう。
日常生活のなかで運動不足にならない工夫をすることが大切です。
医学博士。体臭・多汗研究所設立。患者の心のケアを基本にしながら外科的手法を組み合わせる。「診療外科」を新しい医学分野として提唱。体臭・多汗治療の現場で実践。日本心療外科研究会代表。『汗をかけない人間は爬虫類化する』(祥伝社)他、著書多数。